薬機法の広告規制 ご存知ですか?


1.分かっているのに謳えない

新橋のSL広場を歩いていると、大型スクリーンに「ウコン●力」のCMが流れていました。タレントが「ウコンのパワー」と「連呼」しています。
「ウコン」には「クルクミン」という肝臓に良いとされる成分が入っています。そこまで知らなくても、多くの人は「ウコン」=「肝臓に良い」という漠然としたイメージを持っていることから、「ウコンのパワー」と聞くと、「二日酔いにならないのでは?」と新橋のサラリーマンは思うのです。
しかし、そこまで分かっているのに(分かっていなければコンビニで「ウコン●力」は買いません)、「ウコン」の効能効果を謳えないというのも、何かもどかしさすら感じます。


2.広告規制(薬機法68条)

「ウコン」の効能効果を謳えないのは、薬機法68条によるものです。
「薬機法」は、旧「薬事法」のことで、「薬」(医薬品)だけではなく「機」(医療機器)も規制する法律であることを明確にするために、平成26年11月25日に新法として生まれ変わりました(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます)。
この薬機法68条には何が書いてあるかというと、「何人も、・・・医薬品・・・であって、まだ・・・承認・・・を受けていないものについて、その・・・効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。」とあります。


・・・「あれ、おかしいな」と思いませんでしたか?
この規定には、未承認「医薬品」の効能・効果に関する広告はしてはいけない、とあるのですが、「ウコン」はダメとはどこにも書いてありません。「ウコン」は「食品」(いわゆる「健康食品」)ですから「医薬品」ではないんじゃないのか、という疑問が生じるわけです。
ここが薬機法の広告規制のトリッキーなところなのですが、薬機法2条1項に「医薬品」の定義があります。同項1号が「日本薬局方に収められている物」(「日本薬局方とは薬剤師における六法のようなものです)、同項2号が「人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用させることが目的とされている物」、同項3号が「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」です。
この1号はおくとして、2号と3号は、「疾病」や「身体の構造又は機能」を効能・効果として謳うと、これらを「目的」とした物となって薬機法上「医薬品」という扱いになってしまうわけです。と同時に薬機法68条にも反する可能性が出てくることになります。
言い換えると、薬機法68条の広告規制に要件に該当しないようにするためには、一つには「疾病」や「身体の構造又は機能」を効能・効果として謳わなければいいということになります。



3.「広告」3要件

先程、「薬機法68条にも反する可能性が出てくる」と申し上げましたが、「疾病」や「身体の構造又は機能」を効能・効果として謳っても、この広告規制の要件に該当しない方法がもう一つあります。
「広告」ではないことです。
「広告」については、政府より次の3要件が提示されています(平成10年9月29日 医薬監第148号)。


  1. ① 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
  2. ② 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  3. ③ 一般人が認知できる状態であるこ

特に、②の要件ですが、特定の「商品名」を明示しなければ、「広告」には該当しないということになります。


4.「医薬品等適正広告基準」の改正

以上のように、「疾病」や「身体の構造又は機能」を効能・効果として謳わない、ということと、「広告」3要件に注意して頂ければ、薬機法68条の広告規制には反しないと言えそうなのですが、実は、実務的にはこれでは足りません。ご存知でない方も多いのですが、この広告規制に関する解釈基準である「医薬品等適正広告基準」(昭和55年10月9日 薬発第1339号 厚生省薬務局長通知別紙)が極めて重要なのです。


冒頭、「連呼」と申し上げましたが、同基準によると連呼行為は、5回程度を目安とされているのをご存知でしょうか?
その「医薬品等適正広告基準」が平成29年9月29日に改正されています。
いくつか改正点があるのですが、例えば、「新発売」、「新しい」等の表現は、従来、製品発売後「6ヵ月」を目安とされていたのが「12ヵ月」に延長されました。


「新しい」情報に基づいて訴求力のある「広告」を行いたいと思っている方は、是非、弁護士・薬剤師という専門家のいる当事務所にご相談頂ければと思います。



2018年(平成30年)2月10日
さくら共同法律事務所
弁護士・薬剤師 村上貴洋