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裁判官がアホやからえん罪事件が生まれる2
日本債券信用銀行粉飾決算刑事事件
1審、控訴審ともに有罪。最高裁で、高裁判決を破棄し、差し戻し。
なぜ、刑事裁判官は、検察官の主張にここまで迎合するのか
(平成21年12月7日最高裁判決)

2010/8/11

 日本債券信用銀行(日債銀)の首脳らが起訴された粉飾決算刑事事件では、1審、控訴審で有罪判決が出ていましたが、最高裁は控訴審判決を破棄し、差し戻しました。

 本件は、日債銀や長銀の破綻後の特別公的管理(一時国有化)に伴う膨大な額の公的資金の投入に対して世論が激しく反発したことの結果として、その経営責任を追及すべく検察当局が捜査を行い、粉飾決算があったとして起訴したものです。これに対しては、国策捜査との批判があり、特に、金融政策、金融行政の失政、こうした行政指針に基づきバブル崩壊後不良債権処理を処理を先送りして金融機関の経営姿勢の問題を、銀行破綻時にたまたま経営トップにいた首脳らの個人責任に転嫁することの不合理性が当初から指摘されてきました。

 本件の争点や問題点は、長銀粉飾決算刑事事件と同様ですから、こちらの解説をご覧下さい。

 裁判の結果は、長銀事件と同様に、1審、控訴審は日債銀首脳らを有罪としましたが、最高裁は、長銀事件と同様に、新基準が当時の唯一の公正なる会計慣行であったということはできないといって、控訴審判決を破棄しました。ただ、その決算経理が、旧基準に従った場合において違法性がなかったかどうかを審理すべきとして、高裁に差し戻しています。